土佐の小京都「中村」のお話

四万十市(旧中村市)について

アジサイと水車の写真

中村市は平成17年4月10日より「四万十市」となりました。

中村市は高知県の西南部、幡多郡の中央を流れる四万十川とその支流、後川及び中筋川の流域に発達し、県西南地域の文化、経済、交通の中心地として発展している町である。

中村市は前関白一条教房公が応仁の乱勃発で引き起こされた社会の混乱によって、年貢運上の途絶えた家領幡多荘園の回復をはかり、応仁2年(1468)この地へ下向してから、京都に擬して造られた町で、街並みも碁盤目状に広がり、祇園、京町、鴨川、東山、などの地名があり「土佐の小京都」と呼ばれている。

一条家は教房のあと房家、房冬、房基、兼定とつづき、兼定が天正2年(1574)長宗我部元親によって豊後に追われるまで106年間栄えた。つづく長宗我部氏は関が原の合戦(1600)で大阪方に付き、徳川家康により山内氏が入国。

中村は山内一豊の弟康豊が配されたが、その後元禄2年改易廃藩となり、以降本藩支配下におかれた。

かつての城下町中村は、その後の四万十川の氾濫、火災、地震等大災に見舞われたが、由緒ある一条神社、不破八幡宮、太平寺をはじめ、歴史的伝承行事、大文字送り火など、小京都にふさわしい行事が連綿今日に続いている。

中村市の中心部を流れる四万十川は、高知県東津野村不入山(いらずやま標高1,336m)に源を発し、蛇行しながら梼原川、広見川等の支流を合わせ、太平洋に注ぐ流域面積2,270㎞²(四国第2位、全国第27位)流路延長196㎞(四国第1位、全国第11位)の四国西南地域の母なる川である。

【四万十市・商工観光課より】

四万十川のあゆ

鮎漁の写真

毎年暮れが近づく11月23日から3日間、一条大祭というお祭りがあるのですが、四万十市を流れる四万十川では、丁度この時期に合わせて、産卵を終えた鮎の落ち鮎漁が解禁となります。

一条大祭の準備にあわせて11月20日ころが漁の解禁日となっていましたが、近年は産卵状態の確認のため解禁日は2週間ほど遅くなっています。

午前6時のサイレンと同時に朝もやの中一切に「ころがし」という漁法で産卵の終わった落ち鮎を浅瀬で針に引っ掛けてとる漁が行われます。投網や仕掛け網の使用も多くなりましたので、解禁日と同時にほとんど捕り尽くされてしまいます。

昔から捕れた鮎は一条大祭の来客用の土佐の”さわち”料理の貴重な一品となり、また残った鮎はお正月用の保存食として、いまでも重宝されています。

保存食といっても、この地方独特(多分)だと思うんですが、今でいうブリキの一斗缶の上下の部分をくりぬき、缶の上部の一対をのこぎり状にカットして、昔はよく自転車のフォークの片方の先端を少し研いで使用していたのを覚えています。捕れた鮎の尻尾の付け根部分を、このフォークで一匹づつさして、5~6匹を一本のフォークに逆さに並べます。

さらに同じようにして鮎を刺したフォーク5~6組をブリキ缶ののこぎりカットの部分に並べて、炭火をつけた七輪の上にこのブリキ缶をのせます。

燻製ですので炭火の火力調整は少々コツがいりますが、何時間もかけてゆっくりと焼き上げて”焼き鮎”をつくっていきます。できた物は、ぱりぱりの燻製になり、そのままお醤油をかけて食べたり、またお正月には水で戻して醤油の寒露煮に甘く煮付けて、大切なおせち料理の一品となります。

近年ずいぶん清流四万十川も昔に比べると水の環境も悪くなって、最近は鮎も昔ほどの良形のものも少なくなり、数もびっくりするほどは捕れなくなりました。嘘のようなほんとの話ですが、子供のころ大人に混じって解禁日の夕暮れ時、近くの竹やぶで3メートルほどに切ったメス竹で、浅瀬の水際から思いっきり水面をたたくと、鮎が2~3匹浮かび上がってくることがありました。

捕れた鮎を家にもって帰ったことを昨日のように思い出します。

ゆずについて

柚子の写真

高知県はゆずの生産量では、全国の約40%を占めます。

収穫された柚子は主に’玉だし’され全国に出荷されますが、他は搾汁して柚子果汁となります。

搾った果汁は新鮮なまま-20°以下で凍結されて冷凍保存されます。

この状態で保存された柚子果汁は保存管理を徹底すれば、数年間は解凍すれば搾汁直後そのままの品質で使用できます。常温のままで使用する場合は、柚子表面に付着したり、あるいは空中より飛来して混入した天然の酵母菌により、果汁の醗酵が起こり、密栓した容器が醗酵にともなうガスの充満によって膨張したり、キャップが飛んだりします。

醗酵の結果、果汁成分の糖化が起こり品質を悪くします。これを抑えるために、一般には6%程度の食塩を加えて酵母の活性を抑えるか、あるいは酵母菌の熱処理を行って醗酵を抑えます。

柚子はご存知のとおり、普通のみかんと比べて、内部の果肉が少ないため、果汁が少なく皮が固くごつごつしています。しかし香りは逸品です。柚子の特有の香りは主にミカンの表皮の部分の精油成分に含まれていますので、料理などには皮の表面をすりおろして香り付けに使用されます。柚子を果汁にする場合も同じ理由で、搾汁にあたっては皮の精油成分をなるべく多く残すようにバランスを図ります。搾った果汁をしばらく静置していますと、液上部に白く浮遊してくる部分が、この精油成分にあたります。ここにはビタミンC、クエン酸など多くの体に有効な成分が含まれています。

「四万十」はマルバン醤油の登録商標です。